転換期を迎えたデイサービス事業
今月より介護事業者の経営に役立つ情報をテーマに「月刊介護と経営」がスタートしました。日々の業務に追われる中ちょっと立ち止まって、経営を考えるきっかけにしていただけたらうれしく思います。
さて、今年は6年ぶりの介護報酬、診療報酬の同時改定が4月から行われました。今回の改定は2025年の超高齢化社会へ向け、財政的な問題をクリアしながら、高齢者などが住み慣れた地域で在宅生活を送るため介護・医療がどうかかわるか方向性を示す改定となりました。
方向性を示すキーワードとしては「入院から施設へ、施設から在宅へ」「終末期医療の大転換」「医療介護の連携」「軽度抑制と重度評価」などが挙げられます。
このような流れの中、デイサービス事業は転換期を迎えつつあると言えます。人員基準、設備基準ともに比較的ハードルが低くさらに収益率が高いデイサービスはその参入しやすさから、今や1兆円市場という巨大なマーケットに成長し、在宅介護の牽引役を担ってきました。
しかし、今回の改定では施設から在宅へ誘導される流れの中、その受け皿として定期巡回訪問看護・介護を新設するなどして24時間体制を強化しています。またリハビリ、機能訓練など自立支援に資するサービスの評価を高くしました。一方、デイサービスなどのいわゆるお世話型サービスをその分減算しその財源を捻出しました。
今後、財政状態が急激に改善されるとは考えにくく、お世話型サービスであるデイサービスは改正を迎えるごとに減算され徐々に高い収益性を失う可能性があります。しかも、高齢者住宅併設型のデイサービスが増加し競争が激化することも予想されます。
デイサービス事業は今回の改定で減算された収益を埋め合わせるために、「新たな加算をとる」「魅力あるサービスで利用者を増やす」「新たな介護事業を展開する」などが考えられますが、いずれにしろこの機会に減算のインパクトなどを踏まえつつ、今後の環境変化を予測してじっくりデイサービスの在り方を見つめなおす時期に来たといえます。