利用者の無理な要望に対する対応法
利用者からの要望は介護ニーズなどを知る上で歓迎すべきことと思います。しかし、最近は利用者の権利意識の高まりなどから「介護保険では提供できない過剰なサービスの強要」「特別扱いの要求」など利用者が無理な要望をするケースが増えています。
たとえば、入浴見守りの訪問介護時、利用者から「お風呂は一人ではいるので部屋を掃除してほしいと懇願された」といったケースなどです。当然プランにないサービスは提供できませんし、仮に気の弱い職員が要望どおり掃除をした場合、入浴中の利用者が転倒などすれば重大なトラブルに発展しかねません。
そこで今回はこうした無理な要望に対しどう対応したらよいか考えます。
○無理な要望にはその場で職員が応じたり、反論しないのが基本
即座に断ると、相手が冷静さを失うケースもあります。応じられないのが明白であっても「事業所に確認して今度来た時にお返事します」とワンクッション入れるようにしましょう。この場合、変に期待を抱かせるような言葉遣いは避けましょう。
○現場を孤立させず組織で対応
訪問介護は利用者の自宅で職員が一人でサービスに従事するため、無理難題を言われやすい状況にあります。利用者と職員の関係を壊さないためにも職員を矢面に立たせず、サービス担当責任者などが対応するなど組織で対応しましょう。
○代替案を提示する
報告を受けたら、少々面倒な相手の場合、双方が冷静に話し合う場を別途設けることが関係改善につながります。そして、最終的に要望を断る場合、自費サービスなど代替案を提示します。利用者が受け入れられるかは別にして、代替案により事業者の誠意を示し利用者の拳の下ろしどころを用意します。
前述の例えのように対応によっては重大なトラブルに発展しかねません。また、職員が孤立している場合、職員の退職につながるケースもあります。組織で対応できる仕組みづくりと、風通しの良い報告体制が求められます。