介護事業と労働法
介護保険法では労働法規の遵守が求められており、違反した場合は「指定取り消しなどの罰則もあり得る」という内容になっています。このため介護業者は他業種の会社以上に労働法規に注意しなければなりません。
介護事業者が是正勧告でよく指摘される事項
〇36協定未届
労働基準法第36条に規定されているため36協定と呼ばれています。残業、休日に関する協定を従業員と結び監督署へ届出ないと残業、休日労働をさせてはならないという規定です。
〇残業代未払い
安易に「管理職で役職手当を支払っているから残業代を払わない」などはトラブルのもとです。
〇健康診断未実施
労働安全衛生法では常時働く労働者に対し1年以内ごとに1回、所定の健康診断を義務付けています。
〇労災事故未報告
入浴介助中に滑って従業員がけがをした場合は、労災となり健康保険は使えません。また、監督署への事故報告も必要になります。
〇事前に損害賠償額を予定する契約は禁止
「送迎車での事故は1回につき3万円の罰金」など事前に罰金を定めることは違法になります。ただし、従業員が業務上の過失により実際に会社へ損害を与えた場合はその損害について賠償請求できます。
以上はほんの一例です。数多くある労働法規をすべて把握し適正に運用することは困難なことです。しかし、問題が起こってからでは知らなかったでは済まされません。定期的な専門家のチェックをお勧めします。