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介護と経営

介護事業者と看取り

最期の時をどこで迎えるかといった話題を最近よく目にします。従来は圧倒的に病院でしたがここ数年ようすが変わってきています。厚労省の人口動態調査では病院での死亡割合は2005年の79.8%を最高に年々減少し2015年は74.6%となりました。厚労省が地域包括ケアシステムを柱に介護施設や在宅での看取りを推進していることも理由のひとつであるといえますが、延命措置を施すことなく自然に亡くなる「平穏死」の概念が一般にも受け入れつつあるようにも思います。

このような状況の中、病院を退院後、療養を続けながら最期を迎えるには介護事業者の役割が大きいといえます。特に現状では特養と老健がカギを握るのではないかと思います。しかし、介護給付費分科会の資料によると病床数に占める看取った人の割合は特養が2.4%、老健が1.7%と低い数字を示しています。この原因の一つに家族への対応が挙げられます。本人が施設での最期を希望したにもかかわらず、「急変時に家族の考えが変わって病院への搬送を望んだ」という話をよく耳にします。

このような事態は、本人が望む最期や状況を正確に家族が理解していなかったことが原因として挙げられます。このことを防ぐため施設は事前に個別看取り計画を立て、定期的に本人、家族、場合によっては親戚の方を交えた説明会の開催をお勧めします。回を重ねるごと家族が理解を深めるとともに、熱心に説明してくれる施設に対しファンになるでしょう。

医師、看護師など夜間の体制が整わないなど看取りを行うためのハードルは高いと思います。しかし、物理的、精神的な苦痛を緩和・軽減し、利用者、家族が望む最期を提供できれば、施設の大きな魅力になることと思います。

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