平成29年の地価公示に思う
平成29年地価公示では、東京でのミニバブルに引っ張られて、長野県でも地点によっては若干の値上がりもありましたが、全体では1.0%の値下がりとなりました。(ちなみに軽井沢、そしてなぜか塩尻の2市町村のみが値上がりとなりました。)
個人的なことですが上の息子が4月から就職し、子育ての大きな区切りとなりました。
息子が生まれたころの1990年と2015年を比べると、25年間で日経平均株価は29,475円から19,204円と35%下落(1/3)し、地価は全国平均で、商業地で75%(3/4)、住宅地で48%(1/2)下落しました。数字を見ると、地方の資産家にとっては元気が出るはずもない25年間であったように思います。
同時に25年間で、スマホ、ネット、パソコンが生活の大きな部分を占めるようになり、大量の情報と商品がネットを通じて提供され、消費者も、業者もネットをインフラとして使用するようになりました。結果としてリアルな社会の土地が価値を失い、バーチャルな空間に商品とサービスが置き換わる時代が、この25年のうちに完成したように思います。つまり別に「失われた」わけではなく「置き換わった」だけなのかもしれません。
そこに2008年をピークに人口減少に転じた影響が加わりますから、地方都市では、特殊な要因がある箇所を除き、おそらく今後も更に不動産の需要は低くなり、その価額はじりじりと下がり続けるように私は思います。
そのような枠組みの変化を意識すれば、①不動産への投資、②相続対策と称してそれに対する借金、③これら不動産(と借入)の子どもへの承継はよほど慎重に考えるべきかと私は思います。
【参考図書:続 税理士のための百箇条 関根 稔著】