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月刊未来経営

差のつくり方

「和を以て貴しとなす」は集団運営上、重要で示唆に富んだ言葉だが、会社経営の場合は「差を以て貴しとなす」が鉄則である。競争のなかでお客様に選んでいただくとなれば、何かの「差」が必要だからだ。

何かの「差」があるからこそ選ばれる。だから戦略とは「競争相手との差をつくる」ということになる。

さてここで問題をひとつ。あなたは地元スーパーの経営者である。近くにライバル店舗がいくつかあり、同じような品揃えで、質的にもあまり差がない。一方で近くにイオンの進出が決定している。あなたならどのような戦略をとるか。

もっと鮮度・値段とも良い仕入先を探す。ライバル店より少し安く売る。チラシの回数を増やす。売り場を刷新し、POPを増やし、品揃えを再考する…それも一案である。

一方で、ある地元スーパーは全く違う戦略をとった。イオンに正面からぶつかっても勝ち目はないと判断し、「世界各国の食材や調味料」「高級総菜」「ワインなどの直輸入」「駅ナカ店」などイオンとまったく別の道を選んで成功した。たぶん皆さんお気づきと思うが、それは「成城石井」である。

「差」をつくる方法は2通りある。一つは「better」である。人間でいえば身長、足の速さ、テストの点数などだ。モノサシを当てて、Aさんの方がBさんより足が速いからAさんの方が「better」であるということだ。

もう一つは「different」である。人間で言えば、出身地とか、好きな食べ物とかである。富山出身と大阪出身は「different」ということで、別に良くも悪くもない。

言いたいことは、競争というとゴールは一つしかなく、とかくライバルに勝つために果てしない筋トレに励む方法を考えがち。でも実際には人の好き嫌いは100通り以上あるから、ゴールは山ほどあり、他社に対して、「different」なポジションをとって、そこで自社らしく、自社の強みを発揮し、活路を見いだす方法もあるということだ。

(参考文献:戦略と経営についての論考 楠木建 日本経済出版社)

【文責:飯沼 新吾/プロフィールはこちら

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