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月刊未来経営

人件費の高騰と値上げ要求

30 年続いたデフレの時代が終わり、逆にインフレの時代に突入した。
製造業でも親会社に値上げの要請をすると、満額回答とは言わないが通るケースが多数派だ。ただ敵もさるもの、その根拠の資料を要求され、詳しく聞かれる。
そこで材料費の値上げがいくらで、外注費の値上げがいくらで、人件費の値上げがいくらなどと作り慣れない資料を作ってもっていく。
そうすると材料費、外注費分は分かりやすいこともあってすんなり通るが、人件費やその他の経費となると、購買担当者は何かと難癖を付けがちだ。それもあって値上げ要求額が満額通らなくても、いくらかでも上げてもらえるならと人件費などの分は多少妥協点を見つけて決着することが多い。
しかしそれで良いのだろうか、特に問題になるのが人件費だ。政府は最低賃金を 2020 年代に1,500 円にするという目標を掲げている、実現性のほどは不明だが、ここのところ毎年 50 円、つまり約 5%ずつ最低賃金は上がっているのである。そしてその傾向は来年も再来年も続くに違いない。この点に関し、長期的な視点を持った営業は多くはない。
毎年々々値上げ交渉ができるのか、出来たとして、その度にその部分をうやむやにして決着するのか、いやそれはあり得ないだろう。しかし親会社に強い態度にでて交渉するということは、人件費の高騰に向き合う覚悟が必要だ。

1. 強みを磨いて、交渉力を持つこと。しっかりとした強みを作って買わざるを得ない状況をつくること。
2. 一本足打法から脱却すること。親会社 1 社、ある製品のみに依存する体質は危うい。
3. 生産性を上げること。DX化、機械化、省人化にとことん取り組むこと。とくにDXに関しては遅れているところが意外と多い。
4. 従業員にも意識をしてもらうこと。5 年後に最賃が 1.5 倍になるかもしれないのである。昔ながらの仕事のやり方ではNG。時間当たりの付加価値を 1.5 倍にしてもらって丁度なのである。

【文責:飯沼新吾/プロフィールはこちら

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