「ゆるブラック」にご用心
ブラック企業にもホワイト企業にも当てはまらない、「ゆるブラック企業」という言葉が主に若手ビジネスパーソンの間でトレンドになっています。
ゆるブラック企業とは、ブラック企業と見なされるような長時間労働やパワハラなどの法令違反とは明確に距離を置き、働きやすい環境づくりを志向する一方で、「仕事にやりがいがない」「スキルアップできる環境ではない」と、ある種の物足りなさが指摘されている企業のことです。働き方を改革したのに「なぜか若手の離職が続く…」と悩む企業は「ゆるブラック」化している可能性があるかもしれません。
日本経済新聞が転職口コミサイト「オープンワーク」の協力を得て、口コミ投稿のあった6,680社の投稿を分析すると、半数近くが「ゆるブラック」傾向にあったそうです。新卒で入社した人気企業を去った20代の本音としては、主に以下が挙げられます。
- 人事評価の基準がみえない。社内政治で人事が決まり、実力で評価されづらい。
- 希望する部署への異動までに10年、若いうちに成長できる経験を積めるか不安。
- キャリアを積んでイキイキと仕事をしている同世代の活躍をSNSで見て焦りが出る。
必ずしも仕事に成長やキャリアアップが伴わなければいけない、ということではありませんが、「ゆるブラック」状態の組織は、キャリア志向が強い人、自立心が旺盛な人には向かない職場であり、結果、仕事のできる有能な社員は転職するというサイクルが生まれます。
働き方改革が提唱されて約5年、残業や待遇など労働環境の改善だけが、会社、社員にとってのメリットなのかを今一度考えなおす時期なのかもしれません。
【文責:小倉洋平/プロフィールはこちら】