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月刊未来経営

人を使わずに仕事をやる

先日、全国組織の某ハウスメーカーの幹部社員と意見交換をした。
その際、いまどきの住宅は坪単価120万円越えが普通と聞いてびっくりした。主原因は諸材料の高騰などにあるが、原因の一つに職人不足問題があるらしい。
少し前の職人の単価は13,000円/日であったが、今は25,000円/日で、それでも集まらず、他メーカーとの奪い合いになっているとか。しかも職人の高齢化を考慮すると、今後もこの傾向は続くらしい。
そこでそのハウスメーカーは、職人のための専門学校を設立し、職人の育成・確保に尽力しているらしい。卒業後は専属の工事会社に入ってもらい年収800万円のサラリーマン職人になってもらう計画とか。年収800万円ということは現場に200日でるとして、日当40,000円。時給にして5,000円くらいになる。
このような職人に作ってもらうとすれば坪単価200万円の住宅はザラになりかねない。でもそれでは買う人がいないので、何をするかと言えば、いかに職人を使う工程を少なくするかである。たとえば壁紙が不要な壁材とか、それどころかユニットバスならぬユニットルームなどが登場してもおかしくはない。

さて、このことは建設業ならでは出来事だろうか。今や若者という資源の奪い合いであること、そしてそれに伴う人件費の値上がりはどの業界においても同様だ。
つまりどの業界においても省人化のための努力をしていかなければ、値段での競争に勝ち残れないばかりでなく、そもそも人手不足で製品やサービスを提供できなくなる。日本的な人の手を掛ければ掛けるほど、真心がこもったおもてなしになるといった考え方には無理がある。
働く人にとっても、給与は増えるかもしれないが、今まで覚えてきた人手をかけるノウハウは役に立たなくなる。スーパーでレジ打ちの技術は要らなくなったようにである。労使双方で考え方のアップデートが必要である。

【文責:飯沼新吾/プロフィールはこちら

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