介護職員の離職率低下、全産業平均を下回る
介護事業所にとって久しぶりに希望の持てる数字が公表されました。介護労働実態調査によると介護職員の離職率は13.1%で全産業平均の15%をも下回る結果となりました。ここ数年離職率は減少傾向にありましたが、今回は前年と比べ1.3%減少しており大幅な改善が見られました。この理由は処遇改善加算による賃金水準の改善とともに、介護人材不足の危機感から働きやすさを追求し、工夫を重ねた結果ではないかと思います。しかし、2割強の事業所は離職率が20%以上と高水準にあります。何もしなければ、工夫している事業所との格差はますます広がることが予想されます。では働きやすい職場とはどんな職場でしょうか。たとえば、次のポイントが考えられます。
〇物理的な快適さがある
明るく清潔な事業所、適切な用具と設備、安全で健康に配慮した環境などを意識し物理的に快適であるかを考えましょう。
〇役割分担と責任が明確になっている
従業員自らが、自身の役割と責任の範囲を理解し、どのように貢献するかを明確に把握することで、従業員のモチベーションの向上につながります。
〇効率的なプロセスで適切にスケジュール管理がされている
これは「ムリ、ムダ、ムラ」と密接に関係しています。たとえば、「ムリ→80㌔の利用者を女性スタッフ1人で対応する」「ムダ→バイタル記録など何度も転記している」「ムラ→スタッフによって仕事量のばらつきがある」などがない職場です。
〇円滑なコミュニケーションが取れる人間関係
職場での人間関係は事業所の雰囲気や文化の形成に影響されます。どんな事業所を目指すのか、スタッフが納得できる事業所像を提示することにより、意見を公正に受け入れられる基準ができます。それは信頼と安心感を生み、よりよいチームワークと協力関係を形作る基礎になります。
他にもワークライフバランス、教育訓練など様々なことが考えられるでしょう。いずれにしろ働きやすさの追求は介護事業所にとって永遠に取り組むべきテーマと言えます。
【文責:竹内光彦/プロフィールはこちら】