私たちの年金は大丈夫?年金財政検証2024
今年は5年に一度行われる年金財政検証の年。年金財政検証とは公的年金制度のいわゆる健康診断です。公的年金制度の給付と負担のバランスがとれているかを確認するため、5年ごとに最新の人口や経済の状況を反映した、長期にわたる財政収支の見通しを作成します。
5年前、2019年に行われた財政検証では「老後資金2000万円問題」というワードが世間を揺るがしました。金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書で、「老後30年間で 約2,000万円が不足する」と受け取れる試算が示されたのです。正直ちょっと大げさな表現ではありますが、公的年金のみで充実した老後を過ごすのはキビシイかもしれませんよ…という示唆であったことは確かだと思います。
それでは、今年2024年の財政検証の結果はどうだったのでしょう。結論から申し上げると、前回2019年検証の結果よりも明るい結果、つまり、将来の年金水準が若干回復した結果となりました。これは高齢者や女性の労働参加が進んだこと、また、好調な積立金運用の結果などが回復の要因と発表されています。
しかし、今回の財政検証では、ベースとなる前提条件が少し甘いのではないか…?という疑問の声も上がっています。 つまり、経済成長率や出生率などの数字が現実的でない、ということであり、一概に安心できる結果とは言い難いかもしれません。
公的年金制度が破綻する可能性は非常に低いと思いますが、制度の維持と、給付の額とは別の話です。公的年金制度が継続しても、少子高齢化がますます進む将来は、給付額が目減りしていくことは確実でしょう。そのため、公的年金だけに頼らず生きていけるよう、確定拠出年金やNISAなどを活用し、自助努力での老後資産形成が求められます。
【文責:小倉洋平/プロフィールはこちら】