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月刊未来経営

強みを活かす経営

社長さんと経営に関するお話をすると、「ここまで何とか経営してきたけど、これから何かと先細りで、この先このままの経営で良いのか不安だ。かといってウチみたいな中小企業が大手と正面から当たっても勝ち目はないし、設備にも人にも大したお金はかけられないし…。」という漠然とした悩みを打ち明けられることが多い。
この悩みをネガティブに考えていくと、答えが堂々巡りになって、出口がない議論になることもしばしばだ。
この出口の糸口になるのが、経営戦略の基本の「キ」とも言うべき「強みを活かして戦う」ということだ。そもそも中小企業であるから経営資源が乏しい以上、強みに集中しなければ、小が大に勝つことはできない。
ところが厄介なことに、自分の強みを良く理解しているという人は少ない。ライバル社の強みはこうだと力強く語る社長も、自社の強みをお聞きすると、途端に切れ味が悪くなり、「ウチに大した強みはないよ。あってもそんな強み、どこで消えるか分からない。もう不安しかない。」と途端に弱気だ。
大手と比べれば、値段や品ぞろえなど正面切ってでは敵わないことは多い。でも俳優さんであっても美人さんだけが生き残るかと言えば、むしろユニークな顔の方のほうが、息が長いケースは多い。たぶん若くて美人な芸能人など掃いて捨てるほどいるのだ。
むしろ自分が弱点だと思うことが、強みだったりすることも多い。例えば極小の家族経営であること、田舎にあること、店が狭いことなどは絶対的な弱みなのかと言われると、そうでもないケースは多い。アットホームな家族経営で連係プレイが上手いことを強みとしている経営は存在し、それは大企業といえども、そうそう真似ができるものではないことは言うまでもない。
今一度、経営の基本に立ち返り、自社の強みは何かと問うてみるのは、遠回りのようでいて、経営戦略策定の一番の近道であり、その効き目は抜群だ。(かく言う私も「自社の強み」に対する答えはいつも曖昧で、いつも考えている。)

【文責:飯沼新吾/プロフィールはこちら

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