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介護と経営

小規模介護事業所の厳しい経営状況

今年に入ってから介護事業者の倒産が急増しています。東京商工リサーチが6月7日に公表したレポートによると、2024年1-5月の介護事業者の倒産件数は72件(前年同期比75.6%増)に達し、上半期(1-6月)の過去最多だった2020年の58件を既に上回ったとのことです。介護事業経営に携わる皆様も、周囲の状況や情報から実感されているところではないでしょうか。

倒産件数72件の内訳は、介護報酬マイナス改定の訪問介護が34件、小幅なプラス改定にとどまった通所・短期入所が22件、有料老人ホーム9件、その他7件です。マイナス改定はもちろんの事、介護報酬が少々アップしても人手不足や物価高のコストアップに追い付かない実態を示しています。また、この72件の内従業員10人未満が55件と、事業継続を断念する小規模事業者が多いことが分かった、としています。

ここで小規模事業者といえば、通所介護では地域密着型通所介護です。その経営状況について、 WAM Research Report が公表している「2022年度通所介護の経営状況について」をもとに大規模型(Ⅰ)との比較の観点からご紹介します。結論としては利用率、経常増減差額比率、従事者一人当たりサービス活動収益、従事者一人当たり人件費、定員一人当たりサービス活動収益の全ての項目において、大規模型(Ⅰ)が上回っているということです。反対に上回りたくない項目である人件費率、赤字事業所割合は、地域密着型が上回っています。
(赤字事業所割合:地域密着型が45.9%、大規模型(Ⅰ)が32.5%)

このデータは小規模事業者の厳しい現実を示しています。しかし、例えば「リハに強い」などいずれかの側面で他事業所と差別化し、登録者数や利用率を確保しながら利益を確保している小規模事業者も数多く存在します。採算面での結果を伴う前提にはなりますが、小規模だからこそできるサービスを打ち出していく必要があると思います。

【文責:高橋大輔/プロフィールはこちら

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