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月刊未来経営

税金が高いから…

「税金が高いから」を枕詞に始まる会話は極めて多い。
「法人税が高いから、この際だと思って期末にあらゆる修繕を行った。」「相続税が高いから、相続税対策にアパートを建てた」などだ。
これらの行為は、単純に経済的な効果を考えると大概のケースでは逆効果になり、あまりお得でない。その理由は簡単で税率は100%ではないからだ。
たとえば100万円の経費を使えば、100万円の現金がなくなる。残る現金は0円だ。一方100万円の経費を使わずに残せば、税率が50%としても50万円の現金が残るからだ。仮に税率が30%程度であれば70万円もの現金が残るのである。
だからこれらの支出がすべて無駄というわけではない。その支出が投資として意味があるならば、ソロバンの入れ方が全く変わるからだ。でも「税金が高いから」をメインの理由で行った場合、あまり結果が良くないことを、私たちは経験上知っている。

一方、「税金が高いから、個人の飲み食いを必要経費にした」という例も多い。巨人の坂本選手のようなケースだ。坂本選手は毎年の確定申告で、銀座や六本木の高級クラブなどでの飲食代を必要経費として計上していた。その額は直近5年間で総額1億円に上る。当局はこれをプロ野球選手に必要な支出とは認めず、否認した。詳しい解説は避けるが、たぶん所得税、消費税、罰金を合わせて1億円近くの納税になったはずだ。
もちろんどこからが経費で、どこからがプライベートなのかの議論はあることは承知している。しかし完全にプライベートなものを経費にして、これがバレなければ本当に得なのだろうか。これは単純な計算を考えれば「得」となる。
しかし総合的には高くつくケースは多い。税務署に目を付けられ、追徴課税を受けるリスクも高いが、一番高くつくのは従業員の士気だ。内緒にしていても、どこかでバレている。そしてやる気を失う。最後の踏ん張りが効かない。特権階級の役得は、ほどほどにして置かないと結局高くつくことを心得ておくべきである。

【文責:飯沼新吾/プロフィールはこちら

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