偽装請負の恐るべきリスクと判断基準
近年のパートタイマーへの社会保険の適用拡大、そして働き方改革による残業規制により給与(雇用)ではなく、外注(請負)のメリットが際立ってきています。その反面、万が一偽装請負と認定されると非常に手痛いペナルティがあります。税務面では消費税や源泉所得税を故意に免れたものとされ加算税が課されます。労務面では社会保険料の納付が必要となり未払残業代などの問題も発生します。その判断基準は主には下記の通りです。
基準① 【指揮監督性】
労働にかける時間や業務の進め方に関して、発注者側からの指揮命令がないことが求められます。出勤簿や休務時の届出の提出など発注者側で時間的な拘束をすることは避け、受注者の独立性を確保しましょう。
基準② 【労務対価性】
請負報酬は成果に応じて支払うものであり、原則として時給や日給など時間に応じて決められるものではありません。常用工の人工代であっても受注者側の自己の計算で請求書を作成してもらう必要があります。
基準③ 【事業者性】
自己の判断で仕事を受注できるか(拒否できるか)といった事業者の独立性も大切です。また現場に必要な器具備品を受注者自身が所有しているかも判断の1つです。従業員の作業着と一緒に外注の分も購入してあげたというケースがありますが、これも外注の事業者性からは控えた方が良いでしょう。
金銭負担で済めばまだ良いですが、事故等により問題が顕在化した際には、労働者派遣法、職業安定法、労働基準法といった多岐に渡る法律からの罰則が一斉に押し寄せます。故意に偽装請負に手を出さないことはもちろん、請負契約だと思っていた状態がいつの間にか法律に抵触するといったことがないように気をつける必要があります。
【文責:鍵田貴之/プロフィールはこちら】