税務調査対策 -その他収益編-
今回は最近増えている税務調査に関してです。前回は261号(令和5年10月1日号)にて、売上の計上日や保管しておくべき書類について取り上げました。収益に関してはこの他にもいくつか注意すべき点がありますのでご紹介していきたいと思います。
【副産物や廃材の買取から生じる収益】
建設業では現場から発生した廃材や鉄スクラップをスクラップ業者に売ることが多々あります。また、スクラップ業者は持ち込んだ際に現金で買い取りを行うことも多く、持ち込んだ人の手元に現金が渡ることになります。そのため、会社の帳簿に記載されず収益の計上が漏れる場合や、場合によっては従業員の横領につながることがよくあります。
そもそもが廃材であること、現金で取引していることからバレないだろうと思いがちですが、税務調査の際にはそういった廃材の収入があるのかないのか必ずと言ってよいほど確認されますし、買取業者は誰から買い取ったのか記録していますので買取業者の税務調査からその事実が明らかになることもあります。
最近は金属の価格が高騰しているため、買取価格も以前より高額になってきています。税務調査で指摘された場合にはもれなく追徴課税の対象となりますので、スクラップ業者への収益については必ず帳簿に記載するようにしてください。
【機械などの売却】
他にも、古くなったり壊れたりして使わなくなった建設機械を買取業者に依頼すると値段がついたりすることがあります。このお金を代表者個人の口座に振り込んでもらった場合には会社の帳簿から漏れることがあります。「会社では利用価値もないんだから」といって個人の口座に入金したとしても、税務調査の過程において代表者などの口座にまとまった振込があるとその段階で取引が明るみになります。
相手がいる以上、簿外の取引は調査をすれば必ずと言ってよいほど指摘されます。下手に工作を行ったとしてもバレて多額の追徴を課されることを考えれば、正直に処理することが何よりの税務調査対策となりますね。
【文責:保苅征秀/プロフィールはこちら】