親族への給料いくらまでなら大丈夫?
新しい年が始まりました。
これから確定申告に向け会計帳簿等をまとめ、新年度の専従者(親族)へのお給料をいくらにしようかと考え始める時期かと思います。そこで、今回は専従者給与の妥当性を国が判断しているポイントを下記の東京高裁の判決をもとに解説します。
開業医である控訴人が配偶者に支払った青色事業専従者給与の年額1,800万円が「労務の対価として相当であると認められるもの(所法57①)」か否かが争われた事件(R5.8.3判決)
事実として認められた事項
・開業医の年間収入金額は1億7,000万円~1億9,000万円
・配偶者の肩書は、看護師兼事務長。看護師業務のほか、会計業務や労務管理、診療時間外
の患者に対する電話対応、在宅医療の際の送迎などを行っていた。
・配偶者はタイムカードの作成がなく、事業に従事した時間や業務内容等を都度記録する
などした客観的資料も作成していなかった。
東京高裁は上記の認定事実を踏まえ、H28・29年分は約821万円、平成30年分は約792万円を超える部分は必要経費に算入できないと判断しました。
今回のこの判決は、1,000万円以上の専従者給与を認めないという判決にもみえます。
また、労務の対価として相当と認められる程度の客観的な証拠がなかったこと等から金額が妥当ではないと判断されており、非常に保守的で厳しすぎる判決のように思われます。しかし、国の見方の一つとして、尊重せざるを得ません。
以前ご紹介したTKC経営指標(BAST)で他医院の給与水準等の把握ができますので、給与の判断で迷われた際にはご相談ください。
【文責:神代 弘樹/プロフィールはこちら】