欲しくても作る人がいない
日本の出生者数が減少している。
人口が減り続ける状況で、需要は減り続け、モノの値段は下がり、多くの商売はやりようがなくなる…かと思った。事実その兆候が現れている商売も少なくない。
しかし現実はもうちょっと複雑だった。
需要の減少以上に、モノやサービスの提供をしようにも、それを作る人がいなくなってしまったのだ。つまり需要<供給と思っていたら、需要>供給となっている商売は少なくないのである。
その結果、たとえば建築単価が上昇している。原料高の影響も大きいが、職人不足が著しいのもその理由だ。そして上場会社でも新入社員の募集が困難になっている。たとえば八十二銀行の大卒初任給は23万円、EPSONは23.9万円、熊本で半導体工場を建設しているTSMCなど初任給28万円の募集をかけている。
さて御社に人手は集まっているだろうか。そして定着しているだろうか。
集まっていない、定着していないとすれば、その問題は多面的な分析が必要であるが、根本的な対策として求められるのは会社の体質改善である。
生産性が低く、低賃金の仕事に向き合い、これを何とかする努力をし、会社の総合的な価値を上げる。そして一人当たりの売上高、限界利益を20%~30%上げるビジネスモデルに挑戦せねばならない。これは大変なことだ。しかしそうしなければ初任給23万円にはどうにも対抗できない。そうしなければ求人者にとって魅力的な職場には見えないからだ。
しかし挑戦し甲斐はありそうだ。何せ世の中、多くの分野で需要>供給だから。
【文責:飯沼新吾/プロフィールはこちら】