一人親方とインボイス
10月にインボイス制度が始まりしばらく経ちましたが、先日あるインボイス相談会に派遣されたところ、まだまだ多くの事業者の方が相談に来られていました。その中には一人親方でまだ登録を悩んでいる方もいらっしゃいました。今回はこれまで発注側と受注側の双方の相談に乗ってきた中での実際の声をご紹介いたします。
発注側(元請業者)
「インボイス登録のない業者に外注をだすと消費税が控除できずに税負担が増える。出来れば登録してほしい。けど直接は何も伝えていない。」
「これから3年間は経過措置(消費税の内80%は従来通り控除可能)があるから、影響は少額だろう。ただ3年後までには周りの様子を見つつ取引条件を見直す予定。」
受注側(一人親方)
「消費税の納税額も気になるが、それ以上に消費税計算の方法や請求書の記載方法が分からず、制度自体についていけない。」
「高齢になっており、あと数年はなんとか登録せずにやり過ごしたい。」
「元請けから登録確認アンケートが来ているけど、どういう意味か。切られるのか。」
現時点では、インボイス登録したかどうかの確認作業がメインです。今後はその結果を踏まえ値引き交渉が始まる可能性があります。一人親方がインボイス登録を判断するうえでは、売上先が事業者か個人か、新規取引先開拓への意欲、これからどの程度事業を継続するかといったことがポイントとなり、個別に判断が必要となります。
インボイス制度により発注側も受注側もどちらも事務的、コスト的な負担が発生しています。取引先の目線からのインボイスの見方を理解し今後の取引に繋げていただければ幸いです。
【文責:鍵田貴之/プロフィールはこちら】