みなさまの会社でも「扶養から外れないように」と、年収の壁を意識した働き方をする従業員は少なくないと思います。年収の壁を超えないように仕事量をセーブしたという話もよく聞かれます。政府は人手不足への対応が急務となる中で、短時間労働者が「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりを支援するため、当面の対応として「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表しました。下記２点が本施策のポイントです。

▶「１０６万円の壁」への対応
年収が106万円の壁を超えると、条件を満たす企業（従業員101人以上、週20時間以上働いている等）に勤めている場合、配偶者の社会保険上の扶養から外れ、勤務先の厚生年金や健康保険に加入することになります。つまり、社会保険料を負担しなければならなくなるため手取りが減ります。これを防ぐため、政府は対象者の手取り収入を減らさない取り組みを実施する企業に対し、従業員1人当たり最大50万円の支援を行います。

▶「１３０万円の壁」への対応
106万円の壁の条件に当てはまらない会社でも、年収が130万円の壁を超えると、配偶者の扶養から外れるため、130万円を超えないよう仕事量をセーブする方が多くいます。本施策では、パート等で働く従業員が残業増などで、収入が一時的に130万円を超えてしまった場合でも、会社がそれを証明することで連続して2年までは配偶者の扶養にとどまれることになりました。ただし、あくまで「一時的な収入増」であることに注意が必要です。

上記2点の施策はあくまで2025年末までの暫定的な措置です。現実的には130万円の壁への対応が多くなると思うので、お困りがあれば弊社社会保険労務士へご相談ください。

 

【文責：小倉洋平／プロフィールはこちら】