年収の壁・社会保険
ここのところ、パートの時給は年々上昇しているにも関わらず、配偶者に扶養されているパートの年収はほぼ横ばいです。理由は、税金や社会保険料の支払いが必要となる「働き損」を回避しようと年収の壁(106万円等)を超えないよう就業調整しているからだと思われます。
2024年には50人超の会社が社会保険適用拡大の対象に入ります。この改正により、就業調整を図る従業員が増加する可能性は大いにあり、パートの多い会社にとっては頭が痛い話です。そこで国は、 「社会保険料を国が実質的に軽減し、年収の壁を超えても給与収入の増加に応じて手取りが増加するようしていく」と、様々な対策を発表していますので一部ご紹介いたします。
1.130万(180万)の壁への対応として、事業主の証明があれば実質上限が撤廃(2年間の時限措置)
人手不足による残業増など、一時的な収入変動により年収130万以上となっても、その旨を事業主が証明し、配偶者の勤務する会社に提出することによって、引き続き被扶養者として認定される。
※健康保険組合については、詳細をご確認いただく必要がございます。
2.社会保険適用促進手当(106万の壁対応)
社会保険が適用されていなかったパートが新たに適用となった場合に、その保険適用に伴い新たに発生(増加)した保険料を上限として、その増加保険料相当分を「社会保険適用促進手当」として会社が支給することができ、この手当は、社会保険標準報酬月額の基礎賃金から除くことができる。
3.キャリアアップ助成金の拡充(106万円の壁対応コースが追加)
新たに社会保険に加入させ、2.の手当を支給するなどの対応が助成金の対象となり得る。
上記のような国の施策を活用し、併せて労働環境の改善を図ることによって、これまで就業調整していたパートの労働力を確保(増加)することが、人材確保対策の一手となるかもしれません。
【文責:相澤 秀次/プロフィールはこちら】