電子処方箋の導入状況
国が推進する医療のデジタル化。その柱の一つである令和5年1月26日より開始した電子処方箋について、導入状況をお知らせいたします。7か月が経過した8月末時点での普及率は全国の診療所・薬局等医療機関全体の2.6%にとどまり、大学病院の導入状況は1か所のみとなっています。
県内の導入状況は、10月15日時点で利用申請済みの医療機関が893件、導入医療機関が127件と、導入実績の普及率は約3.7%となっています。
医療機関別では、127件のうち91%にあたる116件が薬局での導入で、病院では1件、診療所で10件という結果となっています。
市町村別では、長野市が23件で最も進んでおり、次いで上田市12件、松本市11件、飯田市7件、安曇野市・佐久市・小諸市で各6件となっています。その内情は、大手の薬局がけん引しており、処方箋を出す医療機関側の導入は進んでおらず、運用している医療機関はより限定的となっています。
導入が進まない要因は何点か考えられますが、大きくはオンライン資格確認システムと一体となっているサービスのため、システム導入に係るコストの負担や、医療機関・患者側からみたシステムへの信頼性、マイナ保険証を利用する患者が限定的であることなどが挙げられます。これらのことから、医療機関としては様子見の動きとなってしまったことや、マイナ保険証ばかりが取り沙汰された結果として電子処方箋の周知が遅れ、サービス自体を知らない患者様が多いことに繋がっています。
電子処方箋の内容は、医院長先生289号で紹介しております。開始から間もないこともあり、ほとんど普及しておらず、動きも低調ですので普及までは時間がかかると思われます。便利なサービスではあるので、患者側の需要と、将来おこる医療従事者の人材不足等をはじめとした課題が噛み合えば、流れが急になることも考えられます。周りの状況を見ながら、いつでも対応できるよう準備をしていただければと思います。
【文責:山口 愛敬/プロフィールはこちら】