税務調査シーズン始まる ―売上対策編―
税務当局の新年度は7月に始まり、事前準備を経て9月頃から年末にかけ調査が多いとされており、コロナ禍において激減していた調査件数が脱コロナとともに増加してきました。今回は調査のメインである売上確認の中でも「計上時期」に絞って解説しますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
税務上、建設業の売上を計上する日は、引渡しの日となります。引渡しの日とは、相手方が検収を完了した日や使用できることとなった日を指します。一般的に公共工事では完了検査の日など検収日が基準となり、建物の引渡しであれば鍵を渡した日が基準となります。税務調査では売上を翌期に繰り延べるなどの利益調整がないか確認されます。したがって、会社として基準日を明確にし、毎年同じ基準を継続して適用することが重要です。
では調査ではどのような資料から売上を確認するのでしょうか。書類毎に解説します。
【請負契約書、請求書】…契約書は建設業法で作成が義務付けられており、着工日や完成予定日が書かれています。工期が延長された場合には引渡し日の変更が分かる書類を残しましょう。
【工事台帳】…着工日や引渡し予定日の他、外注先や仕入先との取引の流れも把握します。期末前後に購入した材料の納品現場名など原価の面から工事の進捗を確認します。
【出面帳、作業日報】…現場作業員の出勤状況や工事の進行具合が把握されます。決算間際で出面帳に動きがあるのに売上が計上されていないと売上の計上漏れが疑われます。
実際の調査では書面上だけでなく、聞き取りも行いながら様々な角度から売上の確認が行われます。決算作業では弊社担当者と上記の観点からも打合せを行い、調査の際に慌てることがないように日頃から書類の適正な保管を心掛けましょう。
【文責:鍵田貴之/プロフィールはこちら】