介護保険料 2割負担対象範囲の見直しとその影響
政府は6月16日、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を閣議決定しました。
昨年12月20日の社会保障審議会介護保険部会では、介護保険利用者負担(2割負担)の対象者の拡大について今夏までに結論を出すとされていましたが、骨太の方針では「介護保険料の上昇を抑えるため、利用者負担の一定以上所得の範囲の取扱いなどについて検討を行い、年末までに結論を得る」とし、結論を保留した形です。
ところで、新型コロナウイルスの感染法上の分類が、5月8日から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられたことは周知の事実です。この3年間騒がれたコロナ禍は、形式的には終わりを告げました。しかし、例えばレスパイト中心のデイサービスについて利用状況を見てみると、必ずしもコロナ前の稼働率に戻っているとは言えない状況のようです。それはコロナ禍で利用控えが長期化した結果、利用者やケアマネの間で、「あずかり中心のデイサービスならそもそも利用しなくてもそれほど問題ない」や「体力・筋力の低下や健康状態の悪化を予防できるリハビリ型のデイサービスを選びたい」という考え方が広がっていることが原因の一つと考えられます。
このような状況の下、利用者2割負担対象範囲が拡大された場合、介護事業所はどのような影響を受けることが予想されるでしょうか。
ただでさえこのコロナ前後で、利用者やケアマネの介護事業所に対する認識が変化してきていると言えるにもかかわらず、さらに利用者負担が2割に増えたとすれば、当然その選別がより顕著に進むことになると考えられます。来年4月には改正介護保険法がスタートします。刻々と変化する状況に対応し、常に利用者のニーズにアンテナを立てることが求められていると思います。
【文責:高橋大輔/プロフィールはこちら】