物価・光熱費高騰による介護事業所への影響
令和5年度は、令和6年度に予定される介護報酬改定に向けた検討が引き続き行われます。
報酬改定の課題整理に必要な情報を把握するため、全国介護事業者協議会ほか民間の 2 団体は昨今の物価・光熱費高騰が介護事業所にもたらしている影響を調査し、公表しました。
調査概要
・対象/全国の介護施設・事業所
・期間/令和5年3月1日〜3月24日
・調査方法/Webによる回答
・回答数/1,277 施設・事業所
調査結果の概要(本稿では小数点以下切捨で表示)
前提:「令和3年10月〜令和4年1月」と「令和4年10月〜令和5年1月」の比較
・物価・光熱費高騰による影響があったか
→ 大いにあった 50%/あった 35%
・特に電気料金の増加率について
→ 11〜20%…21% / 21〜30%…18% / 51%以上…16%
・主なサービス種別ごとの回答数が最も多かった電気料金の増加率
→ 特養…51%以上
有料老人ホーム・サ高住…51%以上/ 通所介護…11~20%/ 訪問介護…21~30%
・物価・光熱費高騰によるコスト増への対応方法(複数回答)
→ 節電や物品の節約等…92%
預貯金等の取り崩し…47%/ 昇給や賞与の減額や見送り…27%/ 人員削減や採用停止…16%
・物価・光熱費高騰を受けた今後の事業継続について
→ 影響はあるが何とか事業継続が可能である…64%
このままでは数年で事業の廃止や倒産の可能性がある…27%
この調査結果から、多くの介護事業所が厳しい経営を余儀なくされていることが読み取れます。しかし介護事業所の売上のほとんどは、公的価格である介護報酬をもとに計算するため、コスト増を簡単に価格転嫁できません。かといって介護報酬のプラス改定や価格高騰対策支援金のような補助金を期待するだけでは窮状の打開はありません。与えられた現状を常に分析し、事業継続に必要な黒字化を達成するための工夫をし続けるしか方法が無いと思います。
【文責:高橋大輔/プロフィールはこちら】