値上げやむなし!今こそ価値の見える化を
長引くコロナ禍やウクライナ危機による原料費の高騰により全業種で様々な値上げが行われています。去年からどの程度上昇したか具体的な統計を見ると企業物価指数が+9.0%、消費者物価指数が+3.0%(R4.8月の前年同月比)となっています。企業物価指数の上昇幅が大きいことから原料高を消費者に転嫁しきれず、企業が負担をしていることが分かります。
多くの企業が原料高を理由として見積り単価を改定していますが、そんな状況下だからこそ価値の提供に着目した値上げについて考えてみてはいかがでしょうか。
1つ目の例として家庭向けリフォーム工事を手掛ける会社の取り組みを紹介します。その取り組みというのは「提案書のボリュームアップ」です。一般的な同業者が表紙・設計図面・見積書の3枚綴りで提案する一方、同社はあいさつ文や自社の概要、過去の施工実績や施工内容をこと細かに記載し、約30ページに及ぶ膨大な提案書を作成するとのことです。
営業担当者がこの提案書を用いて顧客としっかりコミュニケーションをとることで信頼関係が醸成され値上げ後においても以前同様のペースで受注を獲得した例です。値上げにより粗利も22%から40%と大幅に改善したとのことです。
また先日、外壁塗装をしてもらった際にその仕事ぶりに感動したというアパート大家さんの話を聞きました。外壁塗装はある程度年数が経過した際に必須となる工事ですが、数百万円規模となり大きな支出となります。そこでその塗装屋さんは、施工前のアパートの状態から動画を撮影し、下地塗り、仕上げ塗り、さらには自社の想いまでを一つのビデオとして渡してくれたとのことです。ビフォーアフターの違いがはっきりと分かり、また丁寧な仕事ぶりも伝わりここに頼んで良かったと感動されていました。
同じ仕事内容であってもどのように自社の価値を理解してもらうのか、その一工夫が実は大きな違いを生み出すのかもしれません。
【文責:鍵田貴之/プロフィールはこちら】