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介護と経営

居宅介護支援 特定事業所加算

近年ではケアマネの確保が難しくなってきています。その多忙さの割には賃金水準が高いとまでは言えず、ケアマネを志す人自体が減少していること、ケアマネ試験の合格率は20%前後と簡単に突破できるものとは言えないことなどが理由として考えられます。県内のケアマネ事業所を考えますと、いわゆる「ひとりケアマネ」事業所も多く、事業所により違いはありますが業績は必ずしも良いとは言えないように思います。

厚生労働省が公表している令和2年度介護事業経営実態調査における居宅介護支援事業所の実利用者数階級別の経営成績を見て、そのデータを分析すると次のようなことが分かります(以下に示す数字は全て月単位)。実利用者が150人以下かつ常勤換算ケアマネ数が3.0人以下の事業所(全599事業所)の税引前利益は平均で△29千円です。一方で実利用者数が151人以上かつ常勤換算ケアマネ数が4.2人以上の事業所(全169事業所)の税引前利益は平均で+43千円です。

実利用者が101人~150人かつ常勤換算ケアマネ数が3.0人の階級では、税引前利益の平均は△12千円とわずかにマイナスとなってはいますが、上記、税引前利益が赤字か黒字かに影響を及ぼす原因の一つに特定事業所加算の取得の有無があると考えられます。100単位と特定事業所加算の中で加算単位数の最も少ない加算(A)であっても、常勤専従のケアマネ2人(内1名は主任ケアマネ)+常勤のケアマネ1人の計3名の常勤ケアマネが必要にはなりますが、加算(A)を取得すれば、ざっくりと年間140万円程度の報酬増が見込まれます(常勤ケアマネ3名で要介護の利用者を月に120件程度担当した場合)。

それぞれの法人の事情によって居宅介護支援事業所の存在意義は異なることでしょう。
しかし法人全体としての業績改善を考える場合、新規ケアマネの採用を含めた居宅介護支援事業所の採算面での検討は継続的に行っていく必要があるかと思います。

【文責:高橋大輔/プロフィールはこちら

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