省エネ基準対応が絶対要件に
税制改正大綱を見直す中で、国の住宅に関する今後の方向性が見えてくる改正がありましたので紹介したいと思います。
【住宅ローン控除】
借入をして住宅を新築又は取得した場合には借入残高のうち一定額(令和4年以降は0.7%)を所得税から控除できる制度で、家の購入を考える方に幅広く認知されています。
この住宅ローン控除ですが、令和6年1月1日以降に建築確認を受ける場合、一定の省エネ基準を満たさなければ適用できなくなります。これまでは一定の認定住宅であれば限度額を上乗せするといったプラスの措置でしたが、今後の流れとしては一定の省エネ基準が絶対的な要件になってきます。
改正の背景としては、政府が目指す2050年カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする)が関係しています。そのための取組みとして政府は2030年までに新築住宅の平均でゼロエネルギー住宅の実現を目指しています。
一方で、新築ではなく既存住宅の取得に関しては、省エネ基準を含む一定の要件を満たすことで新たに限度額を上乗せする見直しが行われました。こちらは空き家対策の一環としての既存住宅の有効活用を意識した改正かと思われます。
今回の税制改正から見える流れは工務店だけに影響するものではありません。省エネ基準には屋根、壁等の断熱性や冷暖房、換気といった設備も評価対象となってきますので、建築に携わる多くの事業者に影響するものと思います。環境に関する基準の変化は今後も間違いなく実務に関係してきます。まだ先の話と考えずに新たな基準を事前に確認し、状況の変化に機敏に対応して強みとしていただければと思います。
【文責:鍵田貴之/プロフィールはこちら】