今後の建設業界について
今後の建設業界を見通す上でやはり避けて通れないのはICT(情報通信技術)化という時代の流れではないでしょうか。このICT化は、国土交通省の主導のもと、財政制約や生産年齢の減少、環境配慮といった問題点をはらむ建設業界の合理化を進める手段として注目されています。具体例として、図面や資料のデータ化と現場でのIT端末の利用により、図面の共有や詳細な仕様の確認、写真の保管から報告書の作成といった一貫した業務の効率化が可能となるといったことが挙げられます。少子高齢化と技術革新が続く中で、建設業界でもこのようなICT化はますます進むことが予想されますので、情報収集や研修などの対策、設備投資といったことが必須となってきます。
そして今回は、このICTの技術をさらに発展させ、様々な業界を巻き込んで持続可能な都市を作るという「スマートシティ」構想についても踏み込んでいきたいと思います。
【スマートシティ構想とは】
スマートシティとは、「ICT 等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域」と定義されています。
あまり聞きなれない言葉ではありますが、今後まちづくりを進める上でキーワードとなる言葉です。現在、各都市では、人口減少、高齢化、災害多発、感染症リスク等の様々な問題が生じています。一方、スマートシティ構想においては、従来の発想にはないシステムの効率化、サービスの提供等を可能とし、これら各種の社会課題を解決する可能性を有しています。例えば、災害の情報をリアルタイムで取得することで迅速な復旧を実現したり、ドローンやカメラを使い斜面や道路の状況を把握することで定期的な保守や工事の発注を行うといったことが考えられます。現在、このような様々なプロジェクトが立ち上がり全国各地で実証実験が行われようとしていますので、新技術や各種データ活用をまちづくりに取り入れたスマートシティ構想は、建設業者にとっても決して他人事ではなく、新たなビジネスを模索するチャンスでもあると考えられます。詳細についてはぜひ国土交通省のホームページもチェックしてみてください。
<文責:保苅 征秀/プロフィールはこちら>