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総務の達人

見える化するだけで行動は変わる

1973年のオイルショックのとき、オランダ政府は節電のために国内の電気消費量を調査しました。すると、首都アムステルダムの郊外で、電気使用量が近隣より30%も少ない地域を発見しました。なぜ30%も少ないのか、所得の格差によるものなのか、それともその地域は以前より節電を促すようなキャンペーンがされていたのでしょうか。

調べてみると、意外な事実が判明しました。その地域の家はどれもほとんど同じようなつくりだったのですが、一つだけ電気メーターの設置場所が違ったのです。ほかの地域は、地下や野外にメーターが設置されていたのに対し、電気使用量が少ない家庭は中央廊下の見やすい場所に設置されていたのです。つまり、使用量がはっきり見えて確認しやすかったため、節電をしようとするモチベーションが働いたということです。

人は客観的数値をそのままフィードバックする方が、言葉で「節電しよう」や「残業を減らそう」と言うより効果があるようです。実際にある運送会社で行った取り組みでは、ドライバーの出発時間を早めようと、出発時間を記録してもらいました。そしてその結果を食堂に張り出したのです。ちなみに、記録の結果は「個人」ではなく「グループ単位」で、かつ「早い」「遅い」の評価は一切行わないというルールで行われました。すると1か月後、平均で17分も出発時間が早まったのです!もちろん、以前より出発時間を早めるための取り組みはされていたとは思いますが、時間を示すだけでこれだけの成果が出たことには驚きです。

みなさんの会社でもおそらく何かしらの行動記録や財務データをつくっていると思います。その結果にもとづき、従業員に「営業件数をもっと増やせ」や「経費を削減しろ」などの指示を出していると思いますが、それよりも生のデータをそのまま従業員と共有する方が効果はあるのです。「良い」「悪い」の個人ごとの評価は必要ないのです。ぜひ、会計数字とともに、そのもとになっている行動記録などを従業員と共有してみてはいかがでしょうか。

文責 髙山 正

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