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月刊未来経営

商売に特効薬はない

コロナのワクチン接種も、なんだかんだで進み、アフターコロナも秒読みのところまで来ている気がします。
そうなると自社はどうしたらいいんだろう。逆にコロナ社会に慣れ過ぎて、もとに戻ったらどうしよう(?)などと妙な焦りを感じる方もいると思います。
焦ると探したくなるのが、何か良い「特効薬」です。
それを見透かすように、アフターコロナ本がちらほら出始めました。表紙にはこの時代の特効薬っぽい横文字が並んでいて購買意欲をかき立てます。

そのような経営本はたくさんありますが、まず何かの薬を飲めば、大谷翔平のように時速160㎞の速球を投げられるかと言えば、答えはNoです。仮にそんな薬があったとすれば、たくさんの人が飲みますから、商売として差別化は起こりません。つまり商売に特効薬は存在しないのです。たとえばAIとか、DXがそれにあたります。AIとか使えば時速160kmの速球を投げられるようになりそうですが、実際はそうはいきません。逆にDXとかはたくさんの人が利用しますから、最初のうちは差別化の要因になりますが、だんだんに出来て当たり前、差別化とまではいかなくなります。(だから利用しないという結論はあり得ませんけど。)

むしろ重要なのは自分の持ち球の130kmの速球と90kmのカーブの組み合わせの方で、その順番やコースを工夫し、ボール球も混ぜて、どうやって相手に凡打を打たせるか、そこに自社だけのストーリーをどう組み立てるかに商売の醍醐味があります。商売が上手い方は、ここの組み立てが実にウマいです。たとえば女性専用のフィットネスクラブ カーブスなんて、特に目新しいものは何もないけど流行っています。
もちろん一つ一つの球を磨くことも、ときに球種を増やすことも必要です。でも大谷でも200kmの速球を投げられません。そんな球を投げる薬を探すのは時間の無駄です。

(文責:飯沼新吾)

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