ビュートゾルフ
前号に続いてティール組織を取り上げました。今回はラルーの著書の中でティール組織を実践しているとして取り上げられている「ビュートゾルフ」というオランダの在宅ケア組織をご紹介します。
この組織は7年間で看護師10名から7,000名へと急成長し、圧倒的に高水準なケアを実践している組織です。看護師たちは10~12名のチームに分かれ、各チームは、細かく割り当てられた担当地域に住み、約50名の患者を受け持ちます。チームにはリーダーが存在せず、また看護師たちはサービスを提供するだけでなく、さまざまな課題を自分たちで解決します。たとえば休日のスケジューリングはもちろん、利用者が増えた場合、チームの規模を拡大するか二つに分けるか、さらに業績が悪化したときはどう修正するかもチームが決めます。このように、経営をチームへ任せることにより看護師たちは従来の組織では経験したことのない情熱やモチベーションをもつことができます。しかし、こうした生産性の高い自主経営組織が自然発生的に生まれるわけではありません。リーダーがいないチームは通常簡単に悪夢へと変わります。ではなぜビュートゾルフでは自主経営が成り立つのでしょうか。いくつかのポイントをご紹介します。
ポイント1
健全で効率的な集団での意思決定スキルを習得するため「相互作用による問題解決法」を学びます。やはり社員教育なくしてこのような組織は生まれないと思います。ただし自由を得て、責任を負えるようになるまでは疑念や混乱が発生します。そこを乗り越えればその分、真の自主経営ができるチームへと成長します。
ポイント2
コーチがサポートします。しかしコーチは一般的なマネージャーと違い、チームの独立性を尊重するため、権限がなく責任もありません。コーチはチーム自身で問題解決できるように示唆に富んだ問いかけをするだけです。
ポイント3
特定のテーマに関する専門知識は社内SNSを通じ、誰が専門知識を有しているか知ることができ、誰でもその人に聞くことができます。
このほかにも自主経営を機能させるための基本ルールなどがあり工夫が必要です。従業員のモチベーションアップの一方法として参考にしていただければと思います。
【文責:竹内光彦】