やる気が出ないときに読んでください②
ハミルトン・カレッジの社会学者ダニエル・チャンブリスは、6年間に渡り優れた競泳選手の特性ついて調査研究を行いました。練習方法やコーチの教え方など、定性的観点から徹底的に調べた結果、そこから二つの特性が判明しました。一つ目は当たり前ではありますが、優秀な選手は何千時間もの厳しい練習を積み重ねてきたという事実です。しかしもう一つは「偉大な選手は偉大なチームに属している」ということだったのです。つまり選手のパフォーマンスは、どういった環境下に置かれているかによって違いが生じるということだったのです。
私たちは何かビジネスで大きな成功を収めた経営者をみると、もともとの優れた能力やあるいは強い精神力が備わっていたからだと考えがちです。もちろんそれもあるとは思いますが、ひょっとすると単に環境に恵まれていただけかもしれません。つまり自分の能力やチャンスを活かせる環境に身を置いていたということです。事実、ハーバード大学が行ったある調査では、人が社会的経済的成功を収められるかどうかは、「住んでいる場所に大きく依存する」という研究結果が得られています。成功した企業がシリコンバレーに集中するのではなく、シリコンバレーに移転するから成功するのです。
やる気が出ず成果が上がらないときに、なんとか自分の気持ちを高めようと自己啓発書を読んだり、意志力を鍛えようと自身の内面にフォーカスしても、それだけではモチベーションは上がらないかもしれません。それよりも向上心の高い人の集まりに参加したり、実際に成功している人たちと付き合ったりと、今の環境を変えてしまうが手っ取り早そうです。そういった集団に囲まれていれば、自ずと切磋琢磨するものだからです。先述したチャンブリスも述べているように「成功するには大変方法と楽な方法がある。大変な方法は独力で頑張ること、楽な方法はそういった意識の高い集団のなかに入ってしまうこと」なのです。
(文責 髙山 正)