建設業と事業再構築補助金
今回は、最近話題となっている事業再構築補助金が建設業に与える影響を分析していきたいと思います。この補助金の目的は「新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するため」となっています。これを見て「うちには関係ないよ」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし取引先の企業や元請け企業がこの補助金を申請し、採択された場合はどうでしょう。
ここで今回の補助金の対象となる経費は次のように規定されています。
①建物費、②機械装置・システム構築費、③技術導入費、④専門家経費、⑤運搬費、⑥クラウドサービス利用費、⑦外注費、⑧知的財産権等関連経費、⑨広告宣伝・販売促進費、⑩研修費、⑪海外経費
さらに、①に掲げられている「建物費」については、「建物の建設・改修に要する経費」、「建物の撤去に要する経費」、「賃貸物件等の原状回復に要する経費」が例示されており、「建物の単なる購入や賃貸は対象外」となっています。
つまり、この補助金が採択された場合、建設工事や改修工事が補助対象となり、間接的に当該補助金の恩恵を受けることになります。入札や相見積もりが求められているため、簡単に見積金額が採用されることはないと思いますが、補助金が出るため、発注者はより良いものを作ろうとします。そのため普段の工事より利益率の上昇が見込めると予想されます。補助金が採択されるかどうかは会社毎の事情にもよりますが、事前に見積もり依頼がきた場合には普段使わない高性能や高品質のものでも提案が受け入れられる可能性があります。
この補助金、年度内にあと3回程度公募がある予定です。今年の注目すべきワードの一つになるのではないでしょうか。
文責:保苅 征秀