訪問介護の特定事業所加算に新区分
訪問介護は利用者のお宅を訪問して入浴、排せつ、食事などの介助を行いますが、この際いただく介護報酬は原則、ベテランでも新人でも同じサービスを行えば同じ報酬となります。ただし、一定の基準を満たす訪問介護事業所は、より質の高いサービスを提供する事業所として「特定事業所加算」が算定できます。今回の改正でこの「特定事業所加算」に新区分が設けられました。
この加算は、区分Ⅰは20%、Ⅱ、Ⅲは10%、Ⅳは5%そして新区分Ⅴは3%加算されます。要件は①計画的な研修の実施②会議の定期的な開催および利用者留意事項の文書などによる伝達、サービス提供後の報告③定期健康診断の実施④緊急時における対応方法の明示の基本4項目に加え、介護福祉士の割合などの人的要件と介護度、認知症割合などの利用者要件によって区分が決まります。基本4項目+介護福祉士割合30%以上で10%加算される区分Ⅱを算定している事業所の割合が最も高くなっています。また要件を満たせず算定できない事業所は31%ありハードルが高い加算だと言えます。
区分Ⅴの新加算は基本4項目+同一法人で勤続年数が7年以上の職員割合が30%以上あれば算定できます。この7年はヘルパー経験だけでなく異なる施設・事業所の介護職として従事していた勤務年数も通算されますので、社歴の長い訪問介護事業所は容易に要件をクリアできると思います。この加算を算定していない事業所はぜひご検討ください。
別の側面として加算率の高いこの加算は、要件を満たしているのに利用者負担を考慮し算定しない事業所が多くあります。区分Ⅰでは敢えて区分を下げる、または非算定の事業所が半数以上もあります。算定しない事業所は「支給限度額基準を超過するため加算を算定すればサービスを減らさなければならない」など様々な事情があると思います。しかし、介護福祉士など優秀なスタッフが多く在籍し、要介護度が高いなど介護スキルが必要な利用者が多く利用する事業所は介護経験値が高く思っている以上に事業所の価値が高いケースもあると思います。そのことに対する報酬をどう考え、利用者へどう理解してもらうか今回の改正を機にもう一度考えてはいかがでしょうか。
文責:竹内光彦