昔と同じ常用単価は注意
事業者間での常用単価を決める際に参考として使える公共工事設計労務単価が公表され、平成25年から9年連続の引き上げとなりました。
ここでいう労務単価は、労働者本人が受け取るべき賃金となっており、事業主が負担すべき法定福利費や現場作業にかかる経費は一切含まれていません。つまり日額20,409円(令和3年3月)の常用単価で従業員を現場に出してしまえば、経費分はそっくり赤字になるということです。
そこで国土交通省は、事業主が負担すべき法定福利費や現場経費も加味した労務単価も参考として公表しています。例えば長野県の大工では35,400円、土木一般では33,700円となっています。国としても直接的な賃金以外の必要経費をかなりのボリュームでみていることがわかります。工種ごとに参考値を公表しているので確認してみてください。
もちろん上記の労務単価はあくまでも公共工事が前提となります。ただし民間の業者間であっても、長い付き合いだから何も言わずとも同じ常用単価ということがあれば要注意です。この9年間でこれほどまでに労務費は上昇しているのです。次世代の職人を育てるためにも、必要な経費をしっかり確保できる常用単価での受注を目指していただければと思います。
<文責:鍵田 貴之>