不確実な状況から抜け出す方法
コロナウィルスは一体いつ終息するのか、それは誰にも予測できません。そんなコロナ禍であっても、企業は未来に向けて前進し続けなければなりません。しかしどう部下に将来のビジョンを示し、モチベーションを保っていったらよいのでしょう。その答えは、とにかく目の前の課題を一つずつこなしていくよう指示を与えることなのです。
世界的に著名な心理学者のアルバート・バンデューラは、算数が苦手な子供たちを集め、42ページの問題集(算数が苦手な子供たちにとっては困難な課題)を7回に分けて解くための指示を与えましました。ここで子供たちはランダムに3つのグループに分けられ、
- 毎回6ページ問題を終わらせよう
- 42ページの問題集を7回に分けて終わらせよう
- とにかくできるだけたくさんの問題を解こう
と、3つの動機付けがなされました。すると、1.の「6ページずつ終わらせよう」と指示された子供たちのうち74%が課題をクリアしたのに対し、2.3.の子供たちはそれぞれ55%、53%と半分程度しか問題集を終わらせることができなかったのです。一見すると42ページという最終ゴールを示し、そこに向けて取り組むグループが最も課題をクリアできそうに思われますが、結果は無計画に行う3.とさほど変わらなかったのです。つまり、不確かなあるいは困難な将来のゴールを示すより目の前のやるべき課題を指示した方が、最終的にゴールを達成できたのです。
先行きが不透明な状況では、いまやるべき課題を明確にし、目の前の仕事に集中させた方が成果は得られます。一歩を踏み出せば、また次の一歩を踏み出すための情報が得られます。そしてまた一歩と歩を進め、最後は濃い霧の中を抜け出すことができるのです。たとえ小さくても前進させ続けることが大切なのです。
(文責 高山正)