競争力の根底にある積算の重要性
弊社には建設業のお客様が数多くいらっしゃいますが、儲かっている業者さんと儲かっていない業者さんがいらっしゃいます。その要因はいくつかあると思いますが、その一つとして、見積りというか、積算の上手い、下手で差がでているように思います。
建設業では、見込み案件に対して積算を行い営業していきますが、その際には自社で受注できるギリギリのラインを把握しておかなければなりません。ただし中小企業においては独立した積算部門を持っている企業は少ないでしょう。また競争入札による発注が増加する近年では積算件数も増加傾向にあるために積算に費やせる時間は多くありません。そんな中でも重視すべきなのが社内原価の把握かと思います。
適正な社内原価を出すためには、工事種類ごとに正確な材料、工数、常用単価などの把握が必須となります。現場経験がある積算担当者であれば問題ありませんが、営業部門や事務担当者が積算する場合には、社内での情報共有ができるシステムや風土が大切となります。特に、社長を中心としたトップ営業になりがちな企業では、社長の頭の中に基準はあっても明文化されていないケースが多くあります。個人的な能力に依存するのではなく書面やデータベースで整理することで組織全体の能力向上につながるものと思います。また工事完了後に、工事台帳をベースに積算精度の確認や問題点の共有をすることも有効です。
元請業者、下請業者にかかわらず自社の技術力にプラスして積極的な営業が必要とされる時代です。そして営業力の向上には正確な積算能力が不可欠であり、この積算能力が競争力の根底にあるものと思います。基本的な事項ですが積算のやり方を今一度確認していただき、企業の地盤を固めていただければと思います。
<文責:鍵田 貴之>