競合の比較方法
昔から独占的に受注できていた現場も最近は相見積もりを取られ「古くからの付き合い」「工事の質」といった要素よりも単純な見積額で比較されるといった話を聞くことが増えたように思います。あらゆる比較が容易になった現在の市場競争の中で生き抜くためには自社の磨き上げだけでなく他社との比較の中で自社の優劣を見つめなおす必要があるかもしれません。今回は、建設業における競合他社比較の方法を2つご紹介します。
建設事務所で許可業者の情報を手に入れる
建設業許可を取得している全ての企業は、毎期決算後に決算報告(変更届出書)を行う義務があり、この決算報告は建設事務所に行けば誰でも見ることができます。決算報告の主な内容は、企業の損益計算書や工事経歴書などです。工事経歴書にはその期に受注した主要な工事(内容、金額、工期など)が記載されているため、例えば相見積もりで競り負けた場合には、競合他社の受注金額などを把握でき次の見積りの参考にすることができます。競合比較のみでなく元請業者の業績の推移の確認にも応用できるかと思います。
同業種の損益平均をみる
TKCのWebBASTというシステムで業種ごとの平均財務諸表をみることができ、毎期お渡ししている決算書の一番後ろに添付してあります。同業種の材料比率・外注比率や労務費のバランスなどを確かめることができます。黒字企業だけでの絞り込みや規模別での絞り込みも可能ですので担当者に是非お尋ねください。事業環境は企業により様々ですのでそのまま理想的な財務比率とはなりませんが、比較検討することで客観的に自社の財務を見ることができます。
決算を組んだ際には、自社の成績を眺めるだけでなく上記方法で競合比較してみてください。極端に競合ばかり意識する必要はありませんが、競合を知ることでさらに自社の状況が見えてくることもあるかもしれません。
<文責:鍵田 貴之>