小さく、すばやく、すぐ始める
もし、あなたが上司から100人のターゲット顧客に、新商品案内のDMを発送しろ、と指示されたらどう進めるでしょう。おそれく多くの人は、100人のリストを集めることから始めます。そして次にDMの内容を考え、印刷し、封筒に入れ、最後に切手を貼って発送、というのが一般的な手順ではないでしょうか。このように工程を一つずつ処理していく方法を、バッチ処理あるいはロット処理といいます。
一見、合理的なやり方のように思えますが、実は違います。このやり方の最大の問題点は、実際のターゲット顧客にDMが届くまで、あまりにも時間が掛かるということです。なぜなら100単位で作業を進めるからです。しかも、もし封入作業中に誤字に気付いたら、100個分すべてやり直さなければいけません。手戻りは致命傷となります。しかし、アジャイル(俊敏)なやり方であれば、違います。
アジャイルな方法は、まず2、3件をピックアップして、とりあえず発送してしまいます。そこで反応をみて、必要であればリストを見直したり、DMの内容を変えて、次は5、6件を発送します。それを繰り返しながら、最後は一気に送付します。
「とりあえずやってみて、ダメならやり直してさらにやってみる。それをすばやく繰り返し、より良いものをつくる」これがアジャイルなやり方です。100件をいきなり始めようとするれば、精神的なプレッシャーやストレスも大きいでしょう。しかし2、3件ならすぐに始められます。
「でも、そんな少しずつ進めていたら逆に時間が掛かるのでは?」と思われた方もいるかもしれませんが、そうとも限りません。ウソだと思うなら1個流し ロット流し で動画検索してみてください。「1個流し」の方が圧倒的に早く処理ができることがわかります。それこそはまさにトヨタのJIT(ジャスト・イン・タイム生産方式)です。小さく、すばやく、すぐ行動する、それがアジャイルのポイントなのです。