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月刊未来経営

スキルで経営はできるのだろうか

経営の勉強をしたい(またはさせたい)という人は少なくありません。そして何を勉強したら良いかという質問も少なくありません。

MBA(経営大学院)での必須科目は、経営戦略論、組織論、マーケティング、会計・ファイナンスの4つが柱です。確かにこの4つのスキルは経営の助けになることは間違いありません。無いよりもあった方が遥かに成功率は高くなると思います。

しかしこの4つが身に付いていれば、ベトナムかどこかに行って、自社製品である日用品を売る事業を新たに立ち上げることが可能かといえば、結局その人次第という結論ではないでしょうか。
誰かに指示されるわけでもなく、それこそ丸ごと商売を立ち上げる、必要なリソースを自力で調達し、創って、作って、売って、採算をとる、これが経営であります。この商売を丸ごと動かすことはスキルだけではちょっと足りず、最終的にはセンスの問題のように思えます。(その意味での悪い例が大塚家具かもしれません。)

ではそのセンスはどう磨くのかですが、結局経験によってしか育たちません。しかも何か業務の担当者ということではなく、小さくても商売を丸ごと動かすような生身の経験が必要なように思えます。

戦後の日本はあらゆることが未整備で、国内市場も大きくなく、技術も金もなく、極端な話、やることなすこと新しい挑戦ばかりでした。ですから何かを丸ごと動かした経験のある人材が普通にたくさんいました。ところがいったん経済が成熟してしまうと、あらゆることが整っていて、だいたいのことのお膳立てができています。ですから未整備の荒野をゼロから耕すという経験を持つ人は残念ながら少ないです。

仮に次期経営者を育てようとするならば、この経験が必要で、小さい単位であっても商売を丸ごとやらせること、そして創業者はそれに対してお膳立てをしない、口を出さないことが肝要に思います。

(参考文献:経営センスの論理 楠木建著 新潮社)

(文責:飯沼新吾)

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