アジア諸国の高齢化
WHOによると、65歳以上の人口割合(高齢化率)が7%超で高齢化社会、14%超で高齢社会、21%超で超高齢社会と定義されています。総務省の資料によると日本は2010年に高齢化率が23%に達しており、すでに超高齢社会に突入しています。日本社会の高齢化は以前から数多く報道されており、医療、介護、年金など社会保障費用の増大、経済成長率の低下などマイナスイメージがあると思います。一方、アジアに目を向けたとき、アジア諸国でも同じような状況がいずれ訪れます。韓国はまもなく高齢社会を迎え、2030年には超高齢社会へ突入すると予想されています。多くの人口を抱える中国でも2030年には高齢化率17.1%となり、2億5千万人もの高齢者があふれることになります。このように今後10~30年の間にアジア諸国における急速な高齢化が進みます。しかし、日本以外のアジア地域では高齢化社会に対応する産業がほとんど存在していない現状があります。そこで政府は「アジア健康構想」を提言し、高齢化先進国である日本企業のアジア地域への介護産業進出を後押ししています。
2035年の医療、介護などの高齢者向け市場規模は日本105兆円、中国292兆円など東アジア主要国を合計すると496兆円もの規模になると予想されています。経産省の資料によると世界での自動車販売額は2015年で200兆円ほどなので、いかにその規模が大きいかわかります。日本式介護がアジア諸国で受け入れられこの構想が成功すれば、介護ビジネス市場の拡大はもちろん、介護人材の交流も盛んになり日本における深刻な介護人材不足の解消につながる可能性もあります。ちょっと楽観的に思えますが、アジアに目を向けることで今までとは全く違った介護業界が見えてくるかもしれません。そして、新たな希望を持つことにより若い世代の介護人材が、魅力的な事業と思えるような産業に育てる事も重要に思います。
【文責:竹内光彦】