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月刊未来経営

決して人の悪口を言わない

「決して人の悪口を言わない。」これは当社のクレドの一部分です。

ただこのことと物事を批判的にみることとは全く別の問題です。盲目的に、物事や人の善の部分、長所の部分ばかりを見て、悪の部分、欠点の部分を見ないよう心がければ、たしかに悪口を言わないで済むでしょう。

しかしそれでは物事や人を半分しか捉えていないので厚みがありません。批判的に見ることにより、初めて360°の方向から捉えての検証が可能になります。裏を見て、本音が見えて、弱点を見つけて、はじめて厚みをもった視点となり、逆に足りない部分を補うなどのフォローも可能となります。善意のみの視点は、一見好意的に見えても、物事や人の本質を理解しようとすることを避けているとも言え、無関心にも近い視点と言えるかもしれません。

特に部下を育てる場合など、褒めることも重要ですが、上手に批判することが重要で、そのためには部下の行動をよく見て、その本質を読み取らなければできません。他人を批判することと真の意味で理解することは、ほぼほぼイコールかもしれません。それぐらい上手な批判とはむずかしいものです。

私も小さな組織とはいえ「長」ですから、批判的にものをいってくれる人たちは少なく、よいしょをされれば単純に気持ちも良くなります。しかし人間を深く洞察することのない人たちとの会話から得ることは少なく、自分の他人に対する洞察力も鈍ります。

他人に対してもさることながら、批判的にみて洞察する視点は、何よりも自分自身に向けられ、自分自身の内省につながっているはずです。つまり他人を批判的に見られない人は、自分についても長所しか見ない薄っぺらなことになりかねないというわけです。

(批判はする…が)決して人の悪口を言わない。これが当社のクレドの真の意味です。

参考:税理士新聞2017年5月5日号 関根稔氏のコラム
(文責:飯沼新吾)

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