特別養護老人ホームの待機者数
平成27年の制度改正で特養の入居対象者は、原則、要介護3~5となり対象者が大幅に制限されたことは皆さまもご存知のことと思います。この影響がどの程度か気になるところでしたが、この3月に厚労省より特養の入所者申し込み状況(待機状況)が公表されました。これによると平成28年4月時点での待機者数は29万人で平成26年の待機者数52万人から大幅に減少しました。
このような状況の中、みずほ情報総研より特養経営の課題の明確化を目的とした調査結果が公表されましたのでご紹介します。この調査は厚労省が費用を助成する老健事業の一環として平成28年11月から12月にかけて行われたものです。
この調査結果によると、施設利用率は96%と依然高い水準にあります。しかし、空床のある施設の割合も26%存在しています。これは、減少したとはいえ、29万人もの待機者を抱えながら4分の1以上の施設が空床を抱えていることになります。
この原因として、①職員不足の問題50.4% ②入居者が少ないため37.8% ③医療的ケアに対応できない36.4%(複数回答)が主な原因としています。
①は職員不足により稼働率を下げざるを得ない状況が考えられます。②は制度改正の影響と共に待機者がサ高住等へ流れたことなどが考えられます。③は制度改正により介護度が高い利用者が増えたことに対する体制が追いついていない状況が考えられます。
①~③の傾向は今後ますます強まるものと思われます。まだ余裕のある今のうちからこれらの課題に対する取り組みを行うことが求められます。
【文責:竹内光彦】