建設業での成功の条件は標準化の実行
中小工務店では各職人に見積りを上げさせ、そこに25%前後の粗利益を計上して施主に価格を提示するのが一般的です。その見積りが案の定どんぶり勘定で、成り行きで経費を払い続ける会社が大半を占めます。ひどい時には思いがけない経費が出てしまい、「終わってみたら赤字だった」という工務店経営者の嘆きを解決するにはどうすればいいのでしょうか。
前号の続きとなりますが、住宅市場で坪45~80万円の「商品住宅」を建築する場合にはデザインや機能・性能を安定したコストで常時再現することができなければなりません。それらを確実に実施していくためには、工法・構造などの技術面や設計・施工上のルール(品質管理)、そして原価管理なども含めたすべての面で製造業的な視点での「標準化」が必要となります。
生き残るためには「技術と原価管理の標準化」が絶対条件であり、この基本部分が構築されていないと他の戦略は無意味になってしまいます。
標準化をしっかりと実施・継続するためのポイントとなるのが現場監督です。文字通り「現場を最も知る」現場監督が職人をしっかりコントロールし、なおかつ職人の意見を吸い上げて会社にマニュアルとして落とし込まない限り、技術の標準化は容易にはできません。
原価管理においても現場監督が職人と話し合い、標準化部分と住宅ごとの個別部分を把握すれば工事の進捗管理上で想定外の赤字が出る事態は起きないはずです。
今回は住宅をモチーフにして条件を書きましたが、「技術と原価管理の標準化」については住宅以外の公共工事等についても会社が生き残る上では絶対条件となるので、参考にしながら自分の会社の手順が正しいのかどうか検討してみてはいかがでしょうか。
(参考文献:なぜこの工務店に熱烈ファンがつくのか? 三上克俊著 )