仕事を囲ってしまう社員
「仕事を効率よく分担し、段取り良くスムーズに進めたい」経営者であれば誰もがそう思うでしょう。人事異動等の相談を受けるときに、よくそういった声を耳にします。しかし現実には「忙しい、忙しい」と言って、いつも仕事を抱え込んでいる社員がいます。社長に「あの人の仕事を分担することができませんか」と質問すると、たいてい「あの仕事は彼(彼女)しかできないから。よくやっているよ」という返事が返ってきます。全てのケースが本当にそうなのでしょうか?
こんな社員はいませんか?
「忙しい、大変だ」と必要以上にアピールする社員、実はこのタイプの社員は、会社の中で自分のポジションを確保したいだけかもしれません。今の仕事を他の人に取られたら「会社で自分の必要性がなくなってしまうのではないか」逆に「この仕事をやっていれば自分の会社での地位は安泰だ」などと考えているのです。仕事を抱え込んでいるのではなく、仕事を囲い込んでいるのです。
一見難しそうな大変な仕事をしていたと思っていたが、その社員が退職し、別の者が担当してみたところ、実はそうではなかったということも多々あります。
確かに、仕事はきちんとしているようには見えますが、前述のような社員をあまり高く評価してはいけません。なぜなら、自分が病気等で急に仕事ができなくなったときの会社に与えるリスクを考えていません。また仕事を囲っているということは、同じ仕事をただ繰り返しているだけだということです。本来優秀な社員ならば、難しいような仕事を誰もができるように地ならしし、若い社員等に任せる。そして、本当の意味で自分がやるべき仕事、新しい仕事へのチャレンジへ時間を注ぐのです。
できる社員、できる管理者ほど人を使うのも上手です。仕事を調整・平準化し、限られた資源(時間)を効率よく投資(消費)しています。そういった社員を高く評価する風土をつくっていくことが大切です。