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昇給について考える

長引く景気の低迷で、今年は中堅企業であっても、定期昇給さえままならない状況のようです。
日本の企業は終身雇用における年功序列賃金制度のもと、毎年昇給を行ってきました。では昇給にはどのような機能があり、どのように決定されていくのでしょう?

もし、昇給という制度がなかったと仮定した場合、労働者が今より高い賃金を欲しいと思えば、その会社を辞め、外部の労働市場においてより高い賃金で雇用してくれる会社に転職するしかありません。(欧米諸国ではキャリアアップのため転職をする人は日本に比べ多いです。)
しかしながら、そうした場合、辞めていく人は当然優秀な人材からということになります。また新しい人材を採用し、最初から育てなくてはいけないなどの弊害が生じます。

では逆に、毎年少なからず昇給がある場合を考えてみると、「なんとか会社に勤めていればいずれは高い賃金が貰える」という心理が働きます。またそのような労働市場では特別なキャリアでもない限り、中途で転職してもすぐには高い賃金が貰えないということになります。そうすると「何年かかけてやっとここまでの給料になったのに、ここでクビになったらまた振り出しに戻ってしまう」という心理も働きます。辞めた場合の機会費用が大きいので、クビにならないように勤勉に働くとも仮定できます。(そうでもないケースもありますが・・・)

前述の理屈からすれば、労働市場より低額な賃金(世間相場より低い賃金)であった場合、優秀な人材から先に辞めて、ダメ社員ばかり残ってしまうということになります。それなりの人材を採用し、雇用を維持していくのであれば、やはり、それなりの賃金(世間相場以上)を払わなくてはいけないということです。

世間相場という点からみれば、現在は低い数値になっているのも事実です。そのような情勢も含めながら、適正な昇給額を決定していくことが必要です。

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