中小企業退職金共済制度が改正されました
中小企業退職金共済制度が平成23年1月より改正されました。それにより加入対象者が従来より拡大されました。
前号でお話しした「小規模企業共済」は経営者個人が積み立てる退職金制度ですが、「中小企業退職金共済(中退共)」は会社が従業員の退職金として積み立てる制度です。税法上、将来の退職金は退職給与引当金として毎年経費に計上することはできません。しかしながら、中退共は、掛け金の全額を損金として計上しながら積み立てができます。そのため、税務上も有利な制度といえます。
従来は、事業主と生計を一にする同居の親族のみを雇用する事業所(家族経営による小規模事業所)は、この中退共に加入することができませんでした。しかしながら、今回の改正により次の要件を満たせば、同居の親族も加入することができるようになりました。
①小規模企業共済に加入していないこと
②従業員としての使用従属関係が証明できる書類(労働条件通知書等)を提出できること
退職金が簿外債務として認識できておらず、一見健常に見える会社が、退職金の準備不足により「退職金倒産!?」なんてことがあるかもしれません。税務上の優遇措置のみならず、将来の退職金を経費として認識し、資金を備えて置くことは、健全な経営を行っていく上で必要なことかもしれません。
前回お話した小規模企業共済は「経営者」、中小企業退職金共済は「従業員」の退職金共済制度と、それぞれ特徴が違います。いずれの制度であっても従業員のみならず、経営者も将来の備えとして退職金の準備は必須といえるでしょう。