「パワハラ」について
近年、全国的にみても、いわゆる社内における「パワハラ、いじめ」の問題が増加しております。職場でのパワハラが原因で出社拒否となり、どう対応すればよいか、人事担当者も頭を抱えてしまうケースが見受けられます。場合によっては、パワハラが原因で精神疾患となり、労災という問題が絡んできたり、また、会社に対しての損害賠償ということにも発展しています。
労災認定についていえば、職場でのパワハラによる精神疾患が、労災か否かの判断基準のハードルが最近下げられたこともあり、比較的認定されやすくなったという背景があります。
では、どういったものがパワハラとなるのでしょうか? 当然、仕事をしていれば上司として部下に対し、厳しく指導、注意する場面もあるでしょう。ただ、そういったものまで全てがパワハラというわけではありません。ただ、度を過ぎてしまうことが問題なのです。例えば、「バカかお前は」「お前なんか、いつ辞めてもらっても構わないぞ」などと相手の人格を否定するような言動をとったり、また大勢のいる前で叱責したりするようなことはパワハラにつながります。 また、部下にさほど大きなミスはなかったのに、必要以上に叱責するのも問題です。逆にいえば、業務上の必要性から部下に対し、常識の範囲内で指導、教育するための注意であれば、パワハラとはなりません。上司として部下に対し、指導教育することは当たり前のことですし、組織としての規律を保つためには必要なことです。ただ、それが一線を超えてしまうことが問題なのです。
会社としては、もし、パワハラと認められるような行為が発覚した場合は、直ちに事実関係を確認するとともに、その後の措置も踏まえ、再発防止に向けた取り組みを実施することが求められます。放置しておくことは、行為者にもパワハラを受けた者にも、また組織にとっても決していい結果を生みません。