トップの影響力
「お客さま第一主義」や「お客さまの視点に立って」などの経営目標を立てて取り組んでいる企業は多いと思います。ただ、それを全従業員が徹底し、顧客の方だけを向いて仕事をすることは難しいことです。なぜなら、社員は顧客からではなく、社長から給料をもらっていると考えているからです。
上場でもしていない限り、社長の役員報酬は自分で決定しているでしょう。その基準は会社の業績などによるものであり、言い換えれば顧客からの評価によるものです。顧客が決定しているといっても過言ではありません。ところが、社員の給料は顧客ではなく、直接的には社長や上司の決定によって決められます。例えば、社員が「こっちの方がお客さまにとって良いことだ」と考えたとしても、社長から「こっちの方が良い」と強く言われれば、よっぽどのことがない限り、社長の意見に従ってしまうことが多いのではないでしょうか。少なくとも私なら、そうします。サラリーマンは顧客の顔色だけでなく、社長の顔色も見ながら仕事をしているということなのです。
もちろん、全社員がいつも社長の顔色ばかりを見ながら仕事をしているわけではありませんし、顧客の方を向いて仕事をしている社員もたくさんいます。ただ、それでも組織のトップの影響力は大きいということです。よく「会社業績の9割はトップで決まる」といいますが、その理由の一つはこういうことかもしれません。それだけ、トップの姿勢や行動が重要だということです。